前投稿において、卒業設計の基本的な説明を行いましたが、今ひとつ自分の課題でありながら理解できていない部分があるのが事実です。
それは、ル・コルビュジエから建築を解放するために、設計者の決定権をある種、断絶させるような手法で空間を作るというような試みを取っているのですが、はたして、そのようにして生まれた空間がどのように建築へ向かうのかといった点です。
私は、空間から建築へ向かうということの持つ意味は、設計者の経験的知識や感覚、試行錯誤によって見つけるネットワーク(沢山の意味での)、より詳細な図面への落とし込み、現場での不具合、等々による空間の研磨(良しとするところまで磨きあげる意味で)が建築へと向かわせると考えます。
しかし、前文で述べた手法では、この行為を行う事が出来ないように思えるのです。なぜなら、設計者の決定権を断絶してしまっているからです。これでは、空間を研磨することは出来ないということになります。
選択は、実に簡単です。それを良しと考え、空間のまま提案し、新しい空間・コルビュジエからの建築の解放のみを提示してしまうか、それとも新たに研磨をする方法を考え、新しい空間から建築へと完成させ、しっかりと提示するのか。
もちろん、後者の方が格好良く胸を張って提示出来るでしょうが、はたして物理的に可能なのかという問題があります。”言うは易く行うは難し”です。
2007-10-23
Le Corbusier and Modern architecture
This subject is a theme of my thesis.
Le Corbusier designed Villa Savoye about eighty years ago.
He had his personal technique about architecture at this building.
And at the present time, his technique always is used by architect.
This is fear.
Modern architecture is that it is control by him.
Therefore I make new architecture.
It doesn't belong to his architecture value.
This is important movement for modern architecture.
Architecture have common tools of communication.
For example: "models with styrofoam" and "drawings with line" etc..
I'll reconsider them.
The reason is because "Architecture always is decided by architect. It is very sense. And our sense is control by Le Corbusier.".
Fainally, I make my thesis as "our problem".
It is never "answer".
ル・コルビュジエと現代建築
何を隠そう、この主題は私の卒業設計のテーマです。
というのも、私は、ル・コルビュジエがサヴォア邸を発表してから、約80年経った今でなお、彼の手法や空間と空間のネットワーク、空間と外部のネットワーク、動線と空間のネットワーク、機能と空間のネットワーク、どれを見ても今日的に美しいという恐怖を覚えました。
わかりやすく言えば、ル・コルビュジエの空間価値は非常に今日的であり、建築の核であるということです。現代建築は、どれほどの画期的な空間を生み出して来たのでしょうか。建築は停滞することが許されません。常に革新的で、美しい空間を生み出していかなければならないのです。
しかし、現代建築家は誰1人として、革新的な空間を生み出したとは思えません。もちろん画期的なアイデアを持った空間は沢山あり、すばらしい作品は沢山あります。ただ、革新的な空間というとそれは次元の違う話になってしまうのです。
そこで、私は卒業設計という大きなステップにこの題材を選びました。つま先だけでも良いので、ル・コルビュジエの作り出した空間価値から前へ出ようという運動を起こそうとしています。
建築には共通言語というものが存在します。例えば、スチレンボードやスタイロフォームによって作られた模型や線を足す事によって作られた図面などがそうです。私は、この共通言語を考え直すことによって、建築を作ろうと考えています。詳しくは、図面に注目し、例えば、抜いていくようにして描かれていく図面というものを考えました。カンパスをナイフで切り裂き、張力によって空間が生まれるという実験です。このようにして、建築の持つ感覚的特徴(建築を作る上で決定して行かなくてはならないことが沢山あるが、その決定権は常に自分であり、その決定は常に感覚的である)を無くし、何かによって作られていくという方法を行おうとしています。その理由は、私の持つ空間価値はル・コルビュジエによって作られた空間価値に支配されているからです。
ル・コルビュジエの時代とは、大きく異なる現在では、ネット・ケータイによる社会の影響力はすさまじい。この事柄を抜きにして、建築を構築することはもはや不可能である。私は、いかなる見解を持つ事が出来るのか、これからわくわくしている。折しも、ケータイ空間というコンペティションには優れた見解が沢山載っている。是非参考にしていきたい。
最後に、私は卒業設計を「答え」ではなく、「問い」として制作していくつもりです。
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