2008-10-26

フィンランドくるっと。その2

再開。

聖ヘンリー・エキュメニカル礼拝堂 by マッティ・サナクセンアホ



図書館の次に行ったのは、a+uで表紙を飾った木造教会。
すばらしい空間を持つ建築で、今回の旅で見た建築の中でもすごく好きだった建築です。
シンプルな形態と美しい光。ドラマティックな空間は秀逸でした。僕はこういう空間が好き。
最初の写真は、明かりが消えていたときの空間。奥の壁が飛んでいるように見え、緩やか三角のシークエンスが非常に光の空間を効果的に見せている。

ヴィラ・マイレア by aalto


アアルトの住宅建築で最も有名なヴィラ・マイレアに行ってきました。残念ながら、内部写真はNGということで、ヴィラ・マイレア見学スタッフのおねーちゃんに連れられながらの見学。特におもしろみのあることは言ってなかった。ただ、僕は日本の建築が世界にどれだけの影響を与えていたのかを分かっていなかったと思った。アアルトしかり沢山の建築家が日本の建築に興味を持っていた。僕の中で、それを体で理解したということだけでもここに来たかいがあった。建築としては、本当にすばらしい建築だった。建築家が絶対に見ておかなければならない建築のひとつだろうなぁと思った。この辺から、アアルトに対する目がこの旅で変わってきていた。

カレヴァ教会


コテージに行く前の最後の見学地として、タンペレにある大きな教会+市民会館だと思う。へ。
あまりに大きい。大きい。大きい。ダイナミックな空間の教会で、内部も美しい。ただ、大きい。僕は大きい建築の良さがあまり分からないのかもしれない・・・本当に綺麗でそれでいて男っぽい空気も持つ素敵な空間で好きなんですが、僕のポケットには大きい

ペタヤヴェシの木造教会



次の日1発目はログ組みで作られた、なんと1763年の教会。
最初どこの扉も閉まっていて、内部空間の見学はNGなのか~と肩をおろしていたのですが、スペイン人がそこらにいたおいちゃんを捕まえて、交渉。内部を見ることが出来ました。内部は最初、空が曇りで浅い光が200年の隙間からゆるく入ってきていて、素朴さとノスタルジアさえ感じる空間だったのが、曇りから光が差した瞬間、空間が息をしたように神々しさを見せてくれて、この建築は・・・と一人で感動していました。建築家が作れない建築だと思う。塔に登ることが出来たのですが、その先は内緒w。

いざ、ユヴァスキュラへ。この旅で最も行きたかった街です。
さっそく、アアルト代表作セイナッツァロの村役場へ。

セイナッツァロの村役場(外観) by aalto


今日は、時間が少し遅くて見学時間が終了してしまったので、後日改めて内部を見ることにして、今日は外観のみ。
思っていたよりも相当小さい。大体の建築って思っていたよりも小さいですよね?ソーク研究所もそう感じたなぁ。
一瞬雨が降って、セイナッツァロを包むように虹が出たときは、建築の神が降りたと思った。感想は内部の時に。

夏の実験住宅 by aalto


最高の絶景ポイントにあるアアルトのサマーコテージへ。
前期で書いた僕の中のアアルトの変化の決定打となった建築。レンガの積み方を巧みに変えるアアルトの実験的な建築だそうです。僕の感想はアアルトは凶器の建築家だったんだなぁと思った。何が自然派だ!と言いたかった。日本のアアルトの紹介もフィンランドの紹介も、どれだけ「金」の欲に満ちたものなのかがわかった。自然派に仕立てあげただけだった。この住宅を見て、アアルトは本当にすごい建築家だと震撼した。大切な体験をした。

アアルト美術館 by aalto

アアルトのすべてがある美術館へ。アアルトパーティーだ。僕の中では、どこかの万博か何かの有名なアアルト設計の今はもうないパヴィリオンがあるでしょ?ライトかミースかコルビュジエか誰か忘れたけど、くるっと回って、「良い建築家だ」とか言ったとか言わないとかいうあのうねる壁のパヴィリオン!あれが見れて良かった。建築的には、上記二つに比べると「うん。」という感じ。ただ、展示品はどれも見るべきものだと思います。この人はやっぱり自然派なんかじゃない。

セイナッツァロの村役場(内観) by aalto




この日、早速セイナッツァロの村役場の中を見学。見れば見るほど、空間がすごく良い!この旅で1番好きな建築かもしれない。そして、僕はこの建築は作れないなぁと思った。模型段階でどれだけアアルトは空間移入が出来ていたのだろうかと想像してしまう。すばらしい。そして、彼の中で「光」「自然」が建築においてどれだけのウェイトだったかが良く分かります。最近の建築って、私欲を風景にしてしまう力が少ない気がした。アアルトは私欲を風景にしてしまう。まさに凶器。本当に見るべき建築だと僕は思います。

アアルトのホール by aalto

正式名称を知りませんが、ホールが有名ですね。

ユバスキュラ大学と食堂 by aalto



この日最後は、ユバスキュラ大学にお忍び。太陽が出ていると建築は光る。アアルトらしいトップライトから光が降りるエントランスホールは階段のアプローチと共に美しいです。食堂はかっこいい構造が目を引く素敵な空間。素晴らしい建築は1日にいくつも見てはいけないなぁと思った。相当のものでないと目が復活しない・・・。せっかく来ているのだからと思っても、どうしても感動が少なくなってしまう。

最終日。アアルトの教会へ。


これまた傑作。光が空間を自由に差します。そして、フィンランド独特の2重ガラスシステムを利用した、光窓の作り方が豊かだぁと思った。
この旅で、英語をもっと積極的に使わないといけないし、つかわないと失礼だと改心した。逃げてちゃいつまでたっても上達しない。頑張ります。

フィンランドくるっと。その1

今週、フィンランドはグリーンウィークなる休日週間でした。
そこで、同大学9人+αの10人でフィンランドの下半分をくるっと回ってきました。
基本的には、建築学生旅行なので、建築見学がメインイベント!

まずは、フィスカースという刃物のブランドの跡地兼観光地へ。

レストランが高そうだったので、スーパーで買い物してピクニックすることに。
外国人はパンのおいしい食べ方を知っているなぁと思った。


その後、スペイン人アルベルト君の声により、名も無き教会へ。


パイミオのサナトリウム by aalto




元は、サナトリウムとしての機能を持っていましたが、今はおそらく老後施設かホスピスかそのような機能なんだと思います。
だから、当時の感覚で、最後の時間をすごすという理由のもと、ここまでモダンな空間で推したというところがおもしろいなぁと感じました。
建築的なおもしろさは、まだ僕には早い気がした・・・

安藤忠雄が訪れたという墓場の教会へ。


教会としてのプロポーションでは、少し大きすぎる気がして、かっこいいけどちょっと・・・と思ってたのですが、
おそらく、火葬場を兼ねているという話を聞いて、かなりこの建築がしっくりきました。
安藤さんよりも、あらあらしく、女性的な空気を持っていませんが、すごくかっこいい建築だと思いました。
(安藤さんはこの建築に大きな影響を受けたそうです。)

次の日、まずビブリオテックライブラリーという図書館へ。


古い建物のリノベーションというのか、古い図書館と引っ付いてます。
外観は大きなガラスを多用した、現代的なファサード。内部の階段の長いアプローチがかっこよかった。
ストラクチャーのグリッドにしたがって構成されたシンプルで綺麗な建築でした。

疲れたので、また今度。